2006年02月05日

篠沢教授に,ぜんぶ!

仕事が忙しくなかなかブログ更新できないでおりました。
にもかかわらず,この数日間にTBを下さった方々には感謝いたします。

さて,今夜は「諸君!」3月号に「揺ゆれる皇室」と題して特集が組まれていたので,これに少し触れてみたい。


田中卓氏の「女系天皇で問題ありません」の中で,[11]「有識者会議」を素人呼ばわりするのは失礼ではないか。という項目があった。1月31日付け稚ブログにおいて,皇室典範有識者会議に「悪名高き」と冠を据えた上,(?)マークまで付した以上,不特定多数の方が閲覧可能なネット上で態度を表明しているからには何らかの反論をせねばなるまい。

まずはその論文の該当部分を抜粋する。



=引用ここから=

[11]「有識者会議」を素人呼ばわりするのは失礼ではないか

また,(女系・女帝の)反対論者は,「有識者会議」のメンバーを,皇室史や皇室法の素人ばかりと,失礼な批判をするが,私の知る限り,委員の一人,篠山晴生氏は,東大国史学科卒の名誉教授であり,後に学習院大学教授として,皇太子殿下に御進講された経歴を持ち,皇室史にも通じた有名な学者である。また,メンバーの一人,法学博士園部逸夫氏(元,最高裁判所判事,皇室会議議員)には『皇室法概論−皇室制度の法理と運用−』(平成十四年四月,第一法規出版株式会社発行)の大著(六四〇余頁)があり,私は今回,初めて繙読してみて,その労作に敬服した。
むしろ忌憚なく申せば,盛んに女帝・女系反対を唱える論者こそ,それぞれの専門分野−思想・文学・政治・憲法・経済など−では優れた業績のある人たちであろうけれども,彼らの中に,少なくともこれまでに国史を専攻し,日本史学界で,皇室関係史や氏族系譜の研究で名の通る人は殆どいないのではあるまいか。自らを省みることなく,また論拠を示さずに,見解を異にするだけで,他を素人と非難するのは,学者の採るべき態度ではない。
さらに,メンバーにレフトの思想家が交じっていると問題にする向きもあるが,仮にそうであるにしても,国民全体を代表する基準で,各分野の重鎮を選考した人事であるから,左右の立場を含めた「有識者会議」であっても当然であって,別に非難には値しない。むしろそれらの人々が,自ら左右の立場をこえて,満場一致でまとめられた「報告書」にこそ,重要な意義があると言えよう。

引用終わり(カッコ内は引用時付け足し)


そこまで言うのならば,メンバー全員の専門に言及して人事の正当性を説明し,(あるいは小泉首相の代弁を買って出ても良いだろう)皇室史専門の学者がなぜ座長でないかと言う点にも,紙面を費やして国民が納得する論を示すべきである。

さらに,「国民全体を代表する基準で,各分野の重鎮を選考した人事であるから,左右の立場を含めた「有識者会議」であっても当然であって,別に非難には値しない。」とある。

ならばこの会議の座長であった吉川弘之氏がどんな人物かここで少しだけ検証してみる。「悪の教典楽天市場店」様ではフェミニズムとの共振という部分に焦点が当てられている林氏の論文を紹介されているが,稚ブログでは「国民全体を代表する基準」で選考された「重鎮」である吉川氏の「活躍」に触れてみる。この際,いくつか反証を示すだけで十分だろう。

ここで引用するのは,2004年2月7日に行われた武田シンポジウム(生活者の豊かさに貢献する科学技術−技術者と研究者の役割−)での講演をテキストとして起こしたものである。非常に難解な言葉が散りばめられていて解読するのが大変な上,突っ込みどころ満載だか,ここでは一部を抜粋する。
http://www.takeda-foundation.jp/symposium2/m_13.html



=引用ここから=

この今さかんに言われている地球温暖化になりますと、簡単に書きますと、こんなふうに書けると思うんですけど、1900年、非常に古い、地球温暖化に対するウォーニングというか警告を科学者は長い間、発していたわけです。たとえば炭酸ガスを出すと温度が上がるぞと。こういうような問題は盛んにやったわけです。しかし、長い間それを聞く耳をもたなかった。先ほどのサミットと通じて、次第に理解をするようになると、1988年にIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)という、気候変動に関する政府間パネルという名のもとに科学者の集まりをつくって、その科学者がいわば正規に科学的知識をまとめて、政策立案者に提案するという仕組みができる。

こういったものを支えたのが、ICSUだったんです。ICSUの研究者たちが主役になってこういう組織をつくる。そうすることによって、科学者が気づいたこと、予言したことが、いわゆる政治の世界、社会の側に投入されて、社会が動きだすという構造がようやくできたんです。これが、我々の今話題になっている京都プロトコル(議定書)というわけです。

ああいった政治的な課題になってるんですが、もともとは炭酸ガス(二酸化炭素)が出ると地球が温暖化するぞというのは、気象学というか、地球科学の一部分である、学問的な知見というものがまさに、国際的な一つの議論の対象になり、それが各国の経済活動という、産業活動というものに影響を与えるという仕組みができたんです。これはいい仕組みです。これがないと、温暖化でやられちゃったかも。こういう仕組みがもっと必要なんじゃないかということを私は考えていて、ICSUのメカニズムをエネルギーに適用できないかと、こういうふうに考えてるんです。

=引用ここまで=


ということで,吉川氏絶賛だった京都議定書は結局どうなったか,こちらの記事がわかりやすい。
http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/F1/proftakeda/news/041215.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%AD%B0%E5%AE%9A%E6%9B%B8

当時まるで地球が滅亡するみたいに煽るだけ煽っておいた挙句にこれである。
名古屋大学教授武田邦彦氏,これまでまったく接点のなかった方だが,ただ者ではない。
地球温暖化についてもこちらを見てみるとなお,京都議定書がいかなるものであったかが理解できよう。
http://www.numse.nagoya-u.ac.jp/F1/proftakeda/kankyou/2005kankyoukyoukasyo/7/index.htm


またこれに続けてエネルギー問題にも言及している。


=引用ここから=

エネルギーの研究を見るとですね、いっぱいあるんです。いっぱいあるんだけど、最終的に何をやっているかっていうと、たとえば中東にあるように、エネルギーっていうのは多くの場合、紛争の原因になるんです。エネルギーで、気候変動のように、国際的な協調がどうしてできないのかというのが、私のある意味での一研究者としての素朴な発想で、これを国際的な舞台に何とかして乗せてやろうと、さっきのICSUのメカニズムみたいなのを使ってやろうとしました。

考えてみるとエネルギー源というのは、原子力もあり、太陽もあり、もちろん化石燃料もありますよね。そういったものがさまざまあるんだけども、それぞれ研究者が研究していて、ここにもやはり領域間の総合的な検討というものがまったく欠落しているんです。で、よく言うように、エネルギー学というものが存在せず、化石燃料をやっているのは化学者であり、原子力発電をやっているのは物理学者であり、太陽をやっているのは物性論者で、そういったものをみんな違う領域でやっていますから、これが先ほどの邪悪なるものとはいえませんけど、再びエネルギー問題っていうのを起こしてしまったっていうことになります。

そこで、なんとかこういう形でやってみよう。すなわち、最初は科学者たちが領域を超えて議論しよう、すなわちエネルギー研究の総合をしよう。で、これがもしできたならば、その科学者のユニーク・ボイスといわれるものを使って、産業を動かし、ここが非常に難しいんですが、産業も一緒になってやはり国際的なフレームワークをつくろう。そうすれば、エネルギーというものは、人類が争う対象から協力する対象に変わってくれるんじゃなかろうか。そういったことは、科学者にしかできないんじゃなかろうか、これは科学者の大きな役割であろうというふうに思うんです。

=引用ここまで=

「そうすれば、エネルギーというものは、人類が争う対象から協力する対象に変わってくれるんじゃなかろうか」

昨今の日本を取り巻く現状において,東シナ海のガス田や北朝鮮の軽水炉建設の問題だけを取り上げても,地球市民的な理想だけでは解決できないことくらい素人でも理解できる。我が国のエネルギー政策のために,研究者同士の相互の連絡を密にしようというものならばわかるけれども,どこをどう読んでもそいういうイメージは持ち合わせていないようだ。

ましてやエネルギー問題,ここに京都議定書みたいなシステムを導入したいなどという。少し飛躍かもしれないが,今の支那や北朝鮮にエネルギー資源をくれてやれみたいなことになりかねない。

これが,いわゆる「国民全体を代表する基準で,各分野の重鎮を選考した」有識者会議の座長である。

吉川氏はロボットの専門ということになっているが,どちらかと言うと設計学のようである。
ロボットにしろ自動車にしろ,全体としての機能向上にはそれに最適な材料を組み合わせることになろうが,何やら先の有識者会議の報告書が,女系容認,長子優先の結論に達するための都合の良い理由だけを使ったという行為に通ずるものを感じるのは私だけだろうか。

ということで,田中氏の論文にいちいち反論していてはとても体が持たないので,この辺でやめるが,「有識者会議」を愚弄するのが失礼だと言うのは間違っていないか?国民が納得していないから反論しているのであって,むしろ議論不足,説明不足の責任はそちらにあるはずだ。


さて,2番目に篠沢秀夫氏の論文が掲載されている。「「女帝容認」かつ「男系維持」の秘策あり」と題して「廃止旧宮家の若い人を養子として復活させる案」についてわかりやすく解説している。(本当に読みやすい文章だ。どこそこの誰かとは違う)

ここでは,最終章だけを抜粋する。



=引用ここから=

頼もしい寛仁親王の決意

よし,「第三の道」だ。「女帝容認」「男系維持」の両立である。どうやるのか。旧皇族復活に関し,「髭の三笠さん」,三笠宮寛仁親王がご自身の主催する雑誌での随想で,廃止された宮家の復活の次に,跡取りがなくて断絶した戦後の宮家,昭和天皇の弟君二家,秩父宮家と高松宮家を廃止旧宮家の若い人を養子として復活させる案を出されている。これはいい,両宮家は戦後も「国民と共にある」近代皇族を構成しておられた。

そしてこの両宮家を復活させた旧宮家のかたの中から,或いは他の,我が私案では復活させない旧宮家のかたでもいいが,その中から,私案の改正皇室典範で可能となった女性皇位継承者,例えば愛子様の,婚約者を選べばよい。そうすれば「女帝容認」「男系維持」が両立可能となり,「万世一系」のY1染色体保持が実現する。

思えば,三笠宮寛仁親王の御発言は,このあとも月刊『文芸春秋』二月号の櫻井よしこさんとの会見「天皇さま その血の重み」や新聞に現れ,「女系天皇容認を拙速」と批判したとイメージされ,宮内庁の風岡典之次長が一月十日の定例記者会見で「結果として政治的な意味合いを持つことにならないかと心配」と懸念を表明しているが,味わい深いものがあり,また,陛下の仰れないことを敢えて言おうという皇族としての決意が窺えて,頼もしい。一部には宮内庁次長の発言を「権力による言論弾圧」といきり立つ言論も見られたが,これは,一応クギをさしておく,ということだけのことだろう。

我が「第三の道」,女性天皇候補者に旧宮家の男子を配偶者とする案には,「婚姻自由の原則に反する」という反論はあろう。しかし,天皇については憲法で一般国民とは別の「世襲」を規定していることを思って欲しい。「近代皇室」は「国民と共にある」。直径皇族は「国民のため」「お国のため」に日々を過ごす。よく言われる「帝王学」とはその精神を身につけることである。旧宮家出身者から夫を選ぶことを女性皇位継承者に,早くから教育して納得して頂くのは,憲法の精神にも則している。

そのことは改正皇室典範にも文言として入ってよかろう。「男系維持」という抽象的表現でもよい。それは,「有識者会議」提案の一面にある「第一子優先」という,機械的な「男女同権」論,来歴の違うヨーロッパ王朝の風習を「アチラでは」と物真似する愚を排する効果もある。第二子であろうと,直系の男子が皇位継承権で優先するのは,「万世一系」の皇室の千年を超える伝統である。

女性皇位継承者に旧宮家の男性を配偶者とするこの案は何も小生の発案ではない。それを示唆している論者は一人ならずある。ここではさらに一歩進んで,具体策を示そう。

これについて提案したい具体策は,皇室会議の了承事項として頂くということだ。「皇位継承者が女性となった場合,旧宮家の子孫から婚約者を選定する」という方針である。

現行法の皇室会議の構成は,皇族二人,衆参両院の正副議長,内閣総理大臣,宮内庁長官,最高裁判所長官,同判事の計十人,錚々たるメンバーである。この皇室会議でこれをお定めに頂ければ,皇室典範改正「第三の道」の成果は実を成し,「万世一系」の皇室は安泰,「国民と共にある」「近代皇室」は,花と咲くであろう。

何と,この論を一応まとめた後に,論旨を共にする新聞論説が現れた。平成十八年一月十一日産経新聞朝刊「正論」に「まだまだ皇統絶やさぬ道はある」と題して,同志社大学フェロー大阪大学名誉教授の加地伸行氏が書いておられる。「仮に女性天応が誕生したとしても,その配偶者は必ず天皇家の血筋につながる男系男子に限ることによって天皇家の男系は維持できるではないか」とされ,かつまた,これを皇室典範に明記するのが無理であるなら,皇室会議における「必ず守るべき慣行」という申し合わせとする,と言う点まで一致している。「第三の道」は多くのかたに賛同して頂ける妥当な案なのだ。

一方,「男系維持」を説く動きの中には,数十年にわたって戦後イデオロギー解消のために努力を重ねてこられた知勇の士が多くおられる。「女系天皇」排除は言っておられるが,「女帝」そのものをいきなり否認とは強く言っておられない方々もある。「男系維持」が公認され多くの国民の支持が得られたなら,やはりこの「第三の道」をお考えいただけよう。

法律改正に係わることであるから,憲法上,陛下をはじめ直系皇族は公式にはご発言なさらない。そのお気持ちを汲み,我々が国家百年の大計のために発言する要があろう。

天皇陛下は大晦日から新年にかけての神事で,熱烈に国民の安泰と幸福をお祈り下さると聞く。そういう皇室のご安泰とご繁栄を,古代の言葉で祈願しよう。
弥栄! いやさか!

=引用ここまで=


「天皇陛下は大晦日から新年にかけての神事で,熱烈に国民の安泰と幸福をお祈り下さると聞く。そういう皇室のご安泰とご繁栄を,古代の言葉で祈願しよう。
弥栄! いやさか!」


   篠沢教授に,せんぶ!  ←当時はあまり聞いたことなかったな・・・(笑)


posted by ippei_kagurazaka at 23:48| Comment(0) | TrackBack(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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